この身近 歴史の教訓繰り返す
つい最近、塩野七生著の「ローマ人の物語」全巻を読んだ。37巻(最後の努力・下)までは文庫本で、それ以降の「キリストの勝利」「ローマ世界の終焉」は文庫版が未刊行だったので単行本で読んだ。
本棚に青いずら~と並んでいる背表紙を見ていると、本に詰まった古代ローマの歴史が左から右へ流れているような感じがする。
「東電帝国 その失敗の本質」(志村嘉一郎著、文芸新書版)を読むと、やはり歴史は繰り返すものだと実感する。
古代ローマの歴史は2000年、片や電気の歴史は百数十年に過ぎないが、本書でみる、内外の世の流れ、外圧、資源、エネルギー動向、経済成長、官と民、政治動向、自然災害、経営者意識の変化などの東電の時系列的な動きは驚くほど古代ローマの盛衰史と似ている。まさに「歴史は繰り返す」といえそうだ。
本書は九電力体制が制度疲労を起こしている結果だという。たまたま自然災害が引き金になったが、衰退期を示す兆候は既に大震災前にあった。・・・と具体的に挙げている。
勃興期、最盛期、衰退期のうち既にピークを過ぎて衰退期に入っていて、原発事故がいっきにその内幕を露呈させたわけだ。
以下の文章が印象的だった。
“第6章の「・・動く原発がゼロになりかねない。・・(略)・・そうなると電力不足になりかねない。電力会社が、自分の意志で停電させれば、電気事業法で義務づけされている供給責任を放棄したことになる。供給責任の義務違反は、供給義務の見返りに与えられている地域独占の権利違反となる。すなわち、供給責任の放棄は地域独占の放棄なのだ。”
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