しぶとさをこの廃帝に見る思い
「禁城の虜<ラストエンペラー私生活秘聞>」(加藤康男著、
幻冬舎)を読み終わった。(「お気に入りの本」参照)
ドキュメンタリータッチで清朝最後の皇帝、溥儀の生涯が淡々
と描かれている。
あとがきにも書かれている・・
“3歳に満たない年で清朝最後の皇帝に就き、波瀾万丈、紆
余曲折の限 りをつくして20世紀を生き延びた。・・自分より権
力を持つ「長いもの」に巻かれ て生きた。”
確かに・・
辛亥革命による清朝崩壊、軍閥が跋扈して安定しない国内政
情、国民党の台頭、満州国の建国と崩壊、ソ連での抑留、中
国での戦犯生活などの「長いもの」に巻かれて生きて来た。
今、結果を知る者からすれば、節操がない人物と見えるかも知
れない。でも彼の生い立ちから推察されば、これも止むを得な
いことだったのかも・・。
「生き延びる」に手段を選ばないのはどこの国も国民も同じだ。
ただ、歴史の翻弄された溥儀が顕著な例だったのではないか
と思う。
清朝の安定期に生まれなかったのが不幸だった。
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