今死ぬるドアを看護婦間違へず(水府)
「道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家岸本水府とその時代 <上>」
(田辺聖子著、中公文庫)を読み終わった。「お気に入りの本」参照。
575頁におよぶ部厚い文庫版、作者の思い入れがわかる本だった。
川柳作家岸本水府といえば、明治末から大正、昭和期に活躍した川柳作家
で、いわゆる川柳の六大家の1人だ。
大阪の川柳結社「番傘」と、川柳に生涯を賭けた盟友たちを描いた伝記巨編。
この上巻は水府の若き妻勝江の死で終わっている。
勝江は数え19歳で長男を出産後、産褥から離れられず亡くなってしまった。
1920年(大正9)7月3日だった。
そして・・
「悲しみと大暑にぢっと浸るなり」
「水の都のその夏のひとり者」
この句で上巻は終わっている。
« 人生もひかりのように半世紀 | トップページ | 連絡がつかぬ車内の困りごと »
「読書」カテゴリの記事
- 還暦は中間点となる未来(2022.01.04)
- ユニコーン何故か生まれぬニッポンで(2021.12.24)
- 特権を俺に教えた物語(2021.12.02)
- 今風かスネが食われる老夫婦(2021.11.25)
- 納得だ!要点だけのつまみ食い(2021.11.02)
コメント