読後感進歩発展悲観的
1月に読んだ本は4冊になった。
4冊目は「わたしを離さないで」(カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳 ハヤカワepi
文庫)だった。(「お気に入りの本」参照)
作者は父の仕事に伴って英国で育った日本人で英国ブッカー賞作家だそうだ。
物語は、全編、優秀な介護人キャッシー・Hの回想としてに展開されていく。
淡々と激することのない文章が続く。
読み始めは、キャッシーの出生、共同生活の施設ヘールシャムなどの詳細がわ
からず、読書中に自らの想像に頼るしか仕方なかった。
ここで粗筋を紹介するのは止めておこうと思う。
終章が迫るほどに事実は明らかになっていく。
科学の進歩発展に、この小説のような影が付きまとう・・ということを教えられた。
キャッシー・Hとその仲間は社会の闇の中へ葬れていく。
2冊目に読んだ「献灯使」(多和田葉子著、講談社版)は、寿命が伸びた(なかな
か死なない)高齢者を扱った小説だった。著者はドイツ在住とのこと。
120歳の曽祖父が曾孫を育てる筋だ。子ども、孫は死んだか行方不明だ。
長寿が必ずしもベストな社会を作るわけではない・・と訴えているようだ。
こうしたジャンルの小説は日本に少ないみたいだね。
新年早々、目が覚めた思いだった。
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