凄まじい目から鱗の中国史
毛沢東の出生から中国共産党のトップに躍り出て政権を打ち立てるまでを描
いたノンフィクション小説「マオ 誰も知らなかった毛沢東 上」(ユン・チアン著
講談社版)を読み終わった。562頁に及ぶ大書だ。 (「お気に入りの本」参照)
自分が考えていた毛沢東や中国共産党についての認識がすべて覆された。
本書が中国では発禁になってそうだが、それを十二分に理解できる内容だった。
直接、間接を問わず彼が殺した人間は7000万人と言われているがこれも頷ける。
毛沢東の経歴は威嚇、粛清、殺戮の血塗られたものだった。
毛沢東は常にソ連(スターリン)と連絡をとり、ソ連を利用しながら権力を拡大して
行った。毛沢東は共産主義を成功させるにはソ連の侵攻以外にないと考えていた。
犯さず、奪わず、殺さずなどと言われる共産党のいわゆる長征は、事実とまったく
逆で共産党が通過したり滞在した地域ではペンペン草も残っていなかったという。
今年、中国では、抗日勝利70周年の軍事パレードを行ったが、当時の毛沢東のに
ついて著者は本書の「日本語版によせて」で以下のとおり書いている。
“1937年から1945年までの毛沢東の対日戦略は、この時期、彼は抗日と信じらて
いるが、事実はまったく逆で、彼は日本が中国を広範囲に占領する展開を歓迎
していた。日本軍が自分に代わって蒋介石を打ち負かしてくれればいいと考えて
いた。”・・と。
事実、日本軍の相手は国民党軍だった。この事実も今の政権は隠蔽している。
1949年10月1日、毛沢東は北京・天安門の楼上で中華人民共和国の成立を宣言
いたが、“(毛沢東の)演説の最大の特徴は、毛沢東が言及しなかったことにある。
人民の名を冠した政権を打ち立てながら、毛沢東は「人民」ための施策を何ひとつ
打ち出さなかったのである。”
本書を読むと、これでもか、これでもかと殺戮の記述が続く。
中国は、都合の悪い歴史の部分は隠蔽したりねつ造している。
中国共産党は政権維持にキュウキュウするわけだ。
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