日本流会社を変える仕組みとは?
「経済学の宇宙」(岩井克己人著、日本経済新聞社版)を読み終わった。
(「お気に入り本」参照)
著者は東京大大学名誉教授で「ポスト産業資本主義」の理論を打ち立てた経済
学者だ。
本書は500頁に及ぶ大書だが特に印象に残ったのは、「ポスト産業資本主義」に
日本の会社はどう変わっていかなければならいかを説いている部分だ。
既に経済先進国は「ポスト産業資本主義」の時代へ入っているという。
“日本型の会社システムは、特に「後期産業資本主義」に適合した会社システムだ。
戦後日本の人本主義的、労働者管理企業的、共同体的システムは、この後期産
業資本主義にあまりににも適合した会社システムを作り上げてしまった。
(中略) そうはいっても後期産業資本主義に得たノウハウや熟練とポスト産業資
本主義を作りだしていく知識や能力とは必ずしも一致していない。”
ならば、どうするか?
“「会社は変わらなくてもよい」が「変わらなければならない」という、一見すると矛盾
するメッセージを送ることになる。”
“「会社は変わらなくてもよい」ーなぜなら、株式主権論から距離を置いて来たその歴
史は「ポスト産業資本主義」 という新たな時代と親和性を持っているからだ。”
“「変わらなければならない」ーなぜならば、もはやポスト産業資本主義における会社
の命運は機械制工場の脇役としての能力や知識の育成や発展ではない。会社の中
で、従業員や技術者や経営者自ら率先して 差異性を生み出し続けていくことができ
るような人的組織ーそういう組織をいかに育 成し発 展させるかにかかっている。”
どうやら社会は、誰も経験したことのない局面を日本も迎えているようだ。
作れば売れる、置けば売れた時代は完全にオサラバだ。
われら高度成長期派は完全に蚊帳の外だね。
「一億総活用時代」の枠内には入らないようだ。
現役世代、若い世代に期待しよう。
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