どこ見ても性悪な人見当たらず
'12年本屋大賞を受賞した「舟を編む」(三浦しをん著、光文社文庫)を読んだ。
新しい辞書「大渡海」を完成させるまでの出版社チームの活躍を描いた小説だ。
主人公は馬締見光也、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜か
れるところから小説は始まる。
日本語研究に人生を捧げる老学者やベテラン編集者など、彼を取り巻く人々、
そして出会った運命の女性をなど、不器用な人々の思いが胸を打つ。
三浦しをんは「まほろ駅多田便利軒」で、'06年の直木賞を受賞しているが、この
小説も、「舟を編む」にも悪人(もしくは性悪人)は登場しない。
ちょっと並と外れたおおざっぱな人はいるが、全て登場人物は善人ばかり!
雰囲気は、NHKの朝の連続ドラマに似ていると思うのは私だけだろうか?
作者の育った環境が、こうしたほのぼのとした小説の背景にあるかも知れない。
多事争論の世の一服の清涼剤と感じた本だった。
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