八雲立つ出雲の国はわれ誘う
出雲の国を舞台とする情緒小説を読み終わった。
「妻籠め」(佐藤洋二郎著、小学館版)だ。
主人公は東京の大学講師、中年の独身男性だ。専攻は宗教学。
故郷の出雲に母親が一人住まいをしている。
小説の前半は、彼の生い立ちや交友関係が描かれている。
幼い時に出会った教会の神父、長じて帰省中に出会い友人となった朝倉に出会う。
彼は講義を通じてある女子学生を知る。実家は関東地方らしい。
彼女の母親は寺の住職で、彼女は卒業したら実家に帰り、婿を取り後を継ぐことに
なっている。父親について母親からは詳しい説明を受けていない。
彼のゼミでの発言がきっかけで、出雲地方の歴史や神社視察旅行の企画が出た。
参加をの申し出たのは彼女だけだった。
彼は彼女の熱意を受けて、彼女と2人だけの旅行を決行することになる。
山陰の景色や歴史を舞台に、2人心の動きが展開されていく。
そして、ついに彼女の父親が判明する。
本書はあくまで彼、彼女と2人を取り巻く人たちの心理描写が流れだ。
本書の文章で同感したのは以下の言葉だった。
「未練は事故の元、いつまでも拘っていると前に進めなくなる。人生は諦め ていく
修行だ」
私は山陰地方には、会社員時代に1度だけ訪れている。
仕事がらみでもあって、限られた日程で駆け足で回ったに過ぎない。
機会があれば、ユックリと彼の地の歴史、風土を楽しみたいものだ。
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