特権を俺に教えた物語
『終わった人』(内館牧子著、講談社版)を読み終わった。
12月に入り初めて読み終わった本だ。
小説の筋は、盛岡出身の田代壮介は東大法学部卒のメガバンク
の行員だった。役員一歩手前で社員30名の子会社の専務取締役
に出向を命じられ、そこで63歳の定年を迎えた。
ここから66歳までの葛藤、成功、破綻などが書かれた小説だ。
エリートサラリーマンの定年後の話として、特に特異とは思わない
が、所々に記述されている彼が感じた事については、なるほどと思
うことが多々あった。主人公を通じた作者の内館氏の思いかも知れ
ない。
一例を挙げさせていただく。
"先が短いという幸せは、どん底の人間をどれほど楽にしてくれるこ
とだろう。いや、その幸せはどん底の人間でなくても、六十過ぎには、
すべて当てはまる。先が短いのだから、好きなように生きよ」 という
ことなのだ”
"嫌いな人とはメシを食わず、気が向かない場所には行かず、好か
れようと思わず、何を言われようと、どんなことに見舞われようと
「どこ吹く風」で好きなように生きればいい。
周囲から何か言われようが、長いことではないのだ。「どこ 風」だ。
これは先が短い人間の特権であり、実に幸せなことではないか”
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